普通のカフェなのに、何かがおかしい。「うっかりカフェ」というコンセプト

名古屋に「日本一接客態度が悪いレストラン」として話題になった店がありました。2023年にオープンした「the LAZY HOUSE(ザ・レイジーハウス)」です。店員が客に悪態をつく。ところが、その接客を楽しみに予約する人がいました。食べログには、1席500円の予約券を買った人や、前年から予約して待っていた人の口コミもあります。この話を知って、お化け屋敷を思い出しました。人は怖い思いをするためにお金を払い、一緒に行った人が驚く姿も楽しみます。それなら、カフェでも店員がちょっとした失敗や勘違いを演じたら、面白い体験になるかもしれません。そこから考えたのが「うっかりカフェ」です。

コーヒーを頼んだのに、味噌汁が出てくる

見かけは、ごく普通のカフェです。店員が接客し、お客さんはコーヒーを飲んでいます。ところが突然、厨房から「ガシャーン!」という音がします。「あっ、すみません!」店員の慌てた声が聞こえてきます。なんだろうと思っていると、今度は隣の席で妙な会話が始まります。
「ブレンドコーヒーください」「はい、抹茶ですね」「いや、ブレンドコーヒーです」「かしこまりました。麦茶ですね」
そして、なぜか味噌汁が運ばれてきます。またある時には、店員が目の前でコーヒーカップを落としそうになります。「あっ!」思わず声が出ます。ところが、カップは仕掛けで落ちないようになっていて、中身も空っぽです。実はこれ、このカフェの看板ともいえる、お決まりのうっかりなのです。この仕掛けを知っているお客さんは、「次はいつだろう。どこで起こるんだろう。もしかしたら自分の目の前かもしれない」と、今か今かと待ち構えています。まるで吉本新喜劇のお決まりの場面を待つように、分かっていても、ちょっとドキドキするのです。本当のうっかりもあれば、演出もある。どこかおかしな日常が紛れ込んでいるカフェです。

SNSで見かけたら、行ってみたくなる

店内で起きたうっかりを、SNSで紹介するのも面白そうです。例えば、1時間ほどの間隔で何かが起こるとします。実際に起きたハプニングを「午後3時半ごろ、こんなことがありました!」とInstagramなどに投稿します。それを見た人は、「次は1時間くらい後かな?」と予想できます。もし近くで買い物をしていたら、「そろそろ何かあるかな」と寄ってみたくなるかもしれません。さらに、SNSのフォロワーからも「思わず笑ってしまった失敗談」や「こんなボケをやってほしい」というコメントを募集します。例えば、「コーヒー豆をひいて」と頼まれた店員が、コーヒー豆の袋をお客さんの前でズルズル引っ張り始める。そこへ、すかさず「そっちかい!」とツッコミが入ります。そんなボケも店内の演出に取り入れるのです。お客さんが投稿したネタから、次のうっかりが生まれていきます。

うっかりカフェは、どんな街に合う?

実際のカフェや体験型施設の口コミを調べ、名古屋の大須、福岡の天神〜大名、飛騨高山の3地域で考えてみました。
地域 口コミで確認した行動 うっかりカフェの可能性
名古屋・大須商店街 友達と遊んだあとや、新幹線までの空き時間に街歩き謎解きへ参加 買い物や街歩きの途中に、面白い体験を加える
福岡・天神〜大名 SNSで店を知った友人に誘われてカフェを訪問。マジックバーでは、ほかのお客さんが驚く様子も楽しんでいた 友達を誘って、ちょっと変わった店へ出かける
飛騨高山 朝市で食べ歩きをしたあと、子どもの思い出づくりに忍者体験を予約 観光の途中に、家族の思い出になる体験を加える
名古屋の大須なら、街歩きの途中にふらっと寄る。福岡なら、友達同士で面白い店を目指して出かける。飛騨高山なら、旅行中の思い出づくりとして立ち寄る。同じうっかりカフェでも、街によって楽しみ方が変わりそうです。

そのうっかりも、お店の個性になる

びっくりしたあとに、思わず笑ってしまう。そんな演出が、このカフェには似合いそうです。例えば、友達とコーヒーを飲んでいるとき、隣で妙なことが起きます。
「あれ、今の見た?」「えっ、何があったの?」「あの店員さん、絶対おかしいって!」
そうすれば、別の友達にも話したくなります。「今日、変なカフェに行ったんだけどさ……」
日常のちょっとした失敗や勘違い、それもお店のコンセプトになるかも。
あなたのお店にも、そんな出来事はありませんか?