夕陽を探す旅を思い出に|糸島のカフェ·コンセプト

田舎で小さなカフェを開業するなら、資金や物件、設備の準備に加えて、店のコンセプトも大切です。福岡県糸島の海辺には、すでに景色のよいカフェがいくつもあります。そんな場所で新しく小さなカフェを開くなら、どんな理由でお客さんに選んでもらえるのでしょうか。そこで、糸島を訪れた人たちの行動を調べてみました。カフェ3店、宿泊施設、景勝地、駐車場を含む6地点のGoogleマップの口コミ、計66件です。そこから一つの新しいカフェのコンセプトを考えてみました。

夕日を見に来た人は、何をしているのか

糸島半島は夕日の名所として知られています。口コミには、夕日を見る前後の具体的な行動が書かれていました。

夕日を見る前後の場面 口コミに書かれていた行動
日没までの待ち時間 カフェで夕日を待つ
景色を見る時間の確保 無料駐車の時間では足りず、有料駐車場を使う
写真撮影 撮影場所で順番を待つ
帰りの予定 同行者の帰る時間に合わせて夕日を切り上げる

夕日を見るという一つの目的のために、旅行者はいろいろなことをしています。日没は何時なのか。どこで見るのがよいのか。駐車場はどこにあるのか。どうやって行き、どうやって帰るのか。初めて訪れる土地では、一つひとつを自分で調べなければなりません。それなら、こうした準備を、その土地をよく知るカフェが手伝うというコンセプトはどうでしょうか。

夕日を見るための準備を、カフェが手伝う

例えば、カフェでコーヒーを飲んでいるお客さんに、その日の日没時刻や景色のよい場所を教える。「この海岸ならゆっくり眺められますよ」「写真を撮るなら、こちらもおすすめです」。駐車場や移動手段、帰りの交通についても案内します。旅行者が一つずつ調べていることを、地元のカフェが手伝うのです。ここから考えたのが、「夕日コンシェルジュ・カフェ」というコンセプトです。さらに、こんなことも考えられます。

その人だけの夕日を探す旅をつくれないか

例えば、お客さんにどんな夕日を楽しみたいか聞いてみます。「人の少ない海辺でゆっくりしたい」「二人で写真を撮りたい」「途中で寄り道も楽しみたい」。そんな希望に合わせて、その人だけの夕日探索マップを用意するのです。地図には、おすすめの場所や立ち寄り先、帰り道を番号付きで載せておきます。電動アシスト自転車を貸したり、近くのレンタサイクルと組み合わせたりするのも面白そうです。旅行者は、自分のペースで夕日を探しに出かけます。出発するときには、地図と一緒にカフェへの連絡先も渡します。旅の途中でも、そのままカフェへ電話やメッセンジャーで連絡できるようにします。「いま地図の3番のあたりにいるんですけど、帰りのバスに乗れなくなってしまって」タクシーアプリで車が見つからないときには、カフェが現在地を確認し、地元のタクシー会社に電話して、迎えに来てもらえるか聞いてみる。知らない土地でも、困ったときに頼れるカフェがあると心強いでしょう。こうした夕日探索マップは、カフェのSNSでも公開できます。きれいな夕焼けの写真と一緒に紹介すれば、どんな体験を楽しめる店なのかも伝わります。

夕日を探した旅そのものが、思い出になる

自転車で海辺を走り、思いがけない景色に出会う。気に入った場所で写真を撮り、知らなかった道を巡ってみる。その日は曇っていて、きれいな夕日が見られないかもしれません。実際、桜井二見ヶ浦には、曇りの日にも写真をたくさん撮って楽しんだという口コミがありました。夕日が見えなくても、自分たちで景色を探し、海辺を巡ったことが楽しい思い出になります。そして、カフェに戻ってきたら「お疲れさまでした! 夕日はどうでしたか?」と迎えて、食事やコーヒーを楽しんでもらう。お客さんは写真を見ながら旅を振り返る、カフェにとってもありがたい話です。

夕日を見るためのちょっとしたお手伝い。夕日を探す旅そのものを思い出に残すカフェ。

田舎で小さなカフェを開くとき、その土地を訪れる人の目的から、こんな新しい店の形も考えられます。

その土地には、どんな人が何を求めて訪れるのでしょうか?
ひと押ししてもらえると、次に何を調べるかの参考になります。