SWOT分析

ChatGPTを活用したSWOT分析による戦略のケーススタディ

チャットGPTで実践!顧客ニーズをつかみ取るSWOT分析活用ガイド

チャットGPTは与えられた情報をもとに答えを生成するため、ユーザーからの具体的な情報や質問がその回答の質に大きく影響します。

AIは情報を整理するツールであり、独自の考察をするものではありません。

そのため「◯◯のSWOT分析をしてください」と指示しても、一般的な回答しか返ってこないことが多いです。

効果的な結果を得るためには、その前提条件として具体的な背景情報や分析の視点を明確にすることが重要です。

ChatGPTによるSWOT分析の具体例

例えば、ChatGPTへの質問の仕方として「◯◯は多数の実験的店舗を展開しています。これをSWOT分析の"機会"、つまり「チャンスを捉える姿勢」としてどのように評価できますか?」というように、具体的な視点を持たせることでより深い分析が可能になります。

次の例は コメダ喫茶店について、チャットGPTを利用して分析した時のものです。

具体的な分析の視点を明確に指示する

ChatGPTによる回答

※この回答では「機会」が外部要因であるにも関わらず、自社でハンドリングできるものとして扱われています。ChatGPTに対してその点を指摘し、新たな視点や情報を提供し、やり直しを指示します。

ChatGPTは、あるセッションの中でのやり取りを一時的にしろ、追ってくれているため、そこで与えられた情報についてはそれを前提にして、そのセッションのなかでは答えてくれます。

"セッション"とは、ユーザーがチャットを開始してから終了するまでの一連のやり取りのことを指します。

例えば、オンラインのカスタマーサポートに質問をするとき、その質問から返答が終わるまでが1つのセッションです。

この仕組みはとても実用的で、独自の学習を行わせる感覚で回答の精度を高めることができます。

ChatGPTが期待通りの回答を返さなかった場合、場合によっては「模範的な答え」を取り入れて“学習”させていきます。

「模範的な答え」を覚えさせておく

ただ、セッションが終了すると、その中でのやり取りや提供された情報は全て破棄されるので注意が必要です。

SWOT分析でChatGPTを最大限に活かすためには、具体的な情報や指示を複数回、異なる視点から行い、それらの結果を組み合わせることが重要です。

ChatGPTを活用したSWOT分析による戦略のケーススタディ

ビジネスにおけるSWOT分析は、企業の強みや弱みを把握し、戦略を立案する基盤となるものです。

特に、戦略的な分析にAIの力を取り入れることで、従来の方法では見過ごしてしまう洞察を得ることができるようになりました。

そこで、ChatGPTを用いたSWOT分析の新しい試みを、ワークマンのビジネスケースを通じて紹介します。

ワークマンの売上回復への道: チャットGPTでSWOT分析を試みる

ワークマンは、もともと職人向けの作業服を提供していたブランドですが、近年の市場の変化を受けて、一般消費者向けにも展開を広げてきました。

しかし、最近ではその勢いが減退。長く営業している「既存店」の売上は振るわない状態です。この背景には、職人客の減少や一般向け商品の強化が影響していると考えられます。

そこで、「売上が落ち込むワークマン」をケーススタディとして取り上げ、ChatGPTを活用してSWOT分析を行い、顧客体験を中心とした戦略を検証実験として立案しました。

今回、ChatGPTを活用したSWOT分析の過程と、そこから導き出される戦略の詳細を、ケーススタディとしてChatGPTとのやり取りを交えて学習します。

ワークマンの戦略立案の流れ

ChatGPTとの対話内容は以下の通りです。

私:ワークマンの企業としての社会的ミッションは、「働く人に便利さをお届けする」ことです。これは、働く人のために、高機能かつ高品質でありながら、低価格の商品を提供しているという理念に基づいていると考えています。
近年、市場の変化を受けて、一般消費者向けの展開も進めてきました。2018年には「ワークマンプラス」という一般客向けの店舗を開設し、この方針転換は一時的に大きな成功を収めました。 しかし、現在の既存店の売上は振るわない状態にあります。特に、2023年の9月度には前年同期比で6%の売上が減少しました。
(※しっかりChatGPTに情報を提供する)
この背景には、職人客の減少や一般向け商品の強化が影響していると言われています。しかし、本質的には、企業のミッションである「働く人に便利さを届ける」という理念の軸がぶれ、一般消費者にシフトしてしまったことが原因ではないかと考えています。
(※自らのユニークな視点を主張する
企業のミッションや理念は、一つの大きな「幹」と例えられます。そして、その「幹」がぶれてしまうと、全体の方向性が失われる恐れがあります。一般の人々がワークマンに魅力を感じるのは、そのミッションである「働く人に便利さを」という姿勢や、その専門的な機能美が大きいと考えられます。
キャンプやアウトドアのトレンドが増している中、ワークマンの商品はその専門性や信頼性で選ばれているのではないでしょうか。
この軸である「職人や働く人の便利さを追求する」という部分をずらしてしまうことは、「企業としての大きなリスクになるのではないかと考えますが、どう思いますか?
ChatGPT:おっしゃる通り、企業のミッションや理念はその企業の「幹」や「根幹」となるもので、それをしっかりと保持し続けることが長期的な成功の鍵となります。ワークマンの場合、そのミッション「働く人に、便利さ」は、職人や現場作業者など「働く人」に特化した商品を提供することにフォーカスしてきた歴史があります。
この特化したアプローチが、ワークマンのブランドを強化し、一貫性を持たせる原動力となっていました。しかし、一般消費者向けに展開を広げる過程で、このミッションからのずれが生じた可能性が考えられます
一般消費者向けの商品展開自体は、市場の拡大や多様なニーズに対応する意味で悪い選択ではありませんが、その過程で元々のミッションやターゲットから目を逸らしてしまうと、ブランドの一貫性や信頼性が揺らぎやすくなります。
特に、キャンプやアウトドアの潮流が強まっている中、一般の人々がワークマンに求めるのは、その「専門的な機能美」や「職人向けの信頼性」です
これはワークマンの「幹」であり、これを保持しつつ一般消費者へのアプローチを行うことが重要です。従って、ワークマンが今後取るべき方針は、その原点である「働く人の便利さ」を追求しつつ、その上で一般消費者への展開を進めるというバランスの取り方が求められると考えます。
私:はい 確かにそうですね。ワークマンが、顧客ターゲットとする職人の数は減ってきていますが、だからと言って一般のユーザーにその裾野を広げていくといったスタンスでは、やはりワークマンの売り上げが伸びないのではないでしょうか。
逆に職人の数が減っているいまだからこそ、その少なくなるターゲット層のニーズを深掘りし、そこにしっかり応えていくことで、アウトドア志向の一般ユーザーをも引き込んでいくと思います。結果、企業としての幹は力強いものになっていき、ひいては長期的な成長を促すのではないかと考えますが、どう考えますか?
ChatGPT:おっしゃる通り、企業がターゲットを絞り込むことで、その特定のニーズに深く応えることができる場合が多いです。このアプローチは、特に市場が縮小している時や競争が激しい時には非常に効果的です
ワークマンが元々ターゲットとしていた「職人」の層が減少している中、そのニーズを深掘りし、独自の価値を提供することで、そのマーケットでのリーダーシップを強化することができると考えます。
また、職人という専門的な層のニーズを満たすことができれば、それは一般のアウトドア愛好者や専門的な商品を求める一般消費者にとっても魅力的に映る可能性が高まります。
具体的に、ワークマンが提供する商品の品質や機能性は、職人向けとしては当然のものであるかもしれませんが、一般消費者にとっては「プロ仕様」としての魅力を持つと言えます。この「プロ仕様」の商品がアウトドア愛好者や一般消費者の間でトレンドになると、ワークマンのブランド価値はさらに上がる可能性があります。
そのため、ワークマンが職人のニーズにフォーカスしつつ、その派生としての一般消費者へのアプローチを強化することで、長期的な成長を促すことができると考えます。
私:そこで、私はワークマンにカスタマーエクスペリエンス、つまり顧客体験の向上といったオプションを提案したいと思います 。その場合のターゲット層は、アウトドア志向の一般ユーザーになると思いますが、そのようなターゲット層において顧客体験を高める方法には具体的にどのようなものが考えられますか?それを今までの流れから考えてください。
例えば、店舗に来た時に職人の機能的なものを試着してもらうとか、講習会を行うとか。つまり 一般ユーザー向けに職人の技などの紹介をするなどはどうでしょうか。 他に考えられますか!
ChatGPT:ワークマンにおけるカスタマーエクスペリエンスの向上のための提案として、一般消費者が職人の技や機能的なアイテムの魅力を深く理解し、体験することが鍵となります。以下、具体的な提案をいくつか考えました。
1,体験コーナーの設置:
店舗内に専門的な作業を模倣した体験コーナーを設置。一般消費者がワークマンの商品の機能性や耐久性を直接体験できるスペースを提供する。

2,職人による実演イベント:
職人を招き、彼らの技や使用するツールのデモンストレーションを行う。このイベントを通じて、商品の機能や使い方を一般消費者に紹介する。

3,ワークショップの開催:
職人や専門家を講師として招き、一般消費者向けのワークショップを開催。例えば、基本的な修理技術や作業のコツなどを学ぶセミナー。

4,VR/AR体験:
VRやAR技術を用いて、職人の日常の作業や現場の雰囲気を体験できるコンテンツを提供。

5,スタッフの教育強化:
店舗スタッフに商品の詳細や使用方法、職人の日常などの知識を深める研修を実施。顧客の質問に詳しく答えられるようにする。

6,コラボレーション商品:
人気の職人やアーティストとのコラボレーションによる限定商品を作成。一般消費者にも魅力的なアイテムとして提供する。

7,情報提供:
店舗内やウェブサイトで、商品の背後にある職人のストーリーや技の紹介を行うコンテンツを増やす。

これらの提案を通じて、一般消費者がワークマンの商品の背後にある職人の技やストーリーを深く理解し、その魅力をより感じることができると考えます。

このようにして、ChatGPTとのやり取りで獲得したアイディアを活かし、SWOT分析を進行。売り上げ回復のための戦略を導きだしていきます。

ワークマンのSWOT分析から策定した売り上げ回復のモデルコチラをご覧ください。

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アクトニッチ

小規模ビジネスの成長と成功を支える戦略家。SWOT分析を駆使して独自性を発掘し、ビジネスの差別化を図る。豊富な業界経験と革新的なアプローチで、ビジネスのDNAを解き明かし、競争力のある戦略を策定。転職サイトや英語教育分野での躍進を経て、小規模ビジネスや新興企業の成長に必要な戦略策定と差別化をサポート。著書『ホームレスから1億円稼いだ成功法則』などで知られる。

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